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第46号(2004年6月) 金融ビッグバン後の投資信託の現状と課題

運用能力と年金のマネージャー選択

伊藤俊之(多摩大学非常勤講師)
福田徹(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 これまで,実際の運営を任されている会社・基金事務局関係者が,基金財産の運用を委託するにあたって,適切なマネージャー選択を行ったかについて,不透明であることが多いと考えられて来た。しかしながら,過去3年間の厳しい運用状況と代行返上の進展は,年金基金を取り巻く情勢を大きく変化させ,そのような行動を是正させるきっかけになっているかもしれない。
 本稿では,対象となる年金基金のマネージャーを信託銀行,生命保険を除く純粋な投資顧問会社に限定し,計量的な手法を用いて年金基金のマネージャー選択を示すデータとマネージャーの運用能力を表す指標の関連性を,主に2001年以降のデータを利用して検証している。つまり,前述した年金基金を取り巻く情勢の変化が,マネージャーの運用能力と契約資産残高の増減の間の関係に影響を与えたかについて計測することを目的としている。
 検証結果は,ここ3年間の会社・基金事務局関係者のマネージャー選択が,運用能力を重視するものであったと解釈される。これは,日本の年金市場,資産運用市場が系列等の旧来の特別な関係を重視する行動様式から抜け出し,本格的な自由・競争時代へ移行し始めていることを示唆していると言えるだろう。

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