第136号(2026年9月)
スタートアップ企業におけるストックオプションの役割
:サーベイ調査による検証
佐々木寿記(東洋大学経営学部准教授)
花枝英樹(一橋大学名誉教授)
- 〔要 旨〕
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本稿では,未上場のスタートアップ企業を対象にしたサーベイ調査データを用い,未上場スタートアップ企業におけるストックオプションの役割について分析を行った。その結果,企業価値や株価を高めるインセンティブ効果や現金報酬の一部代替といった通常のストックオプションの役割が未上場のスタートアップ企業でも確認され,先行研究と同様にエージェンシー仮説や資金制約仮説と整合的な結果が得られた。また,それら以外にも今後の上場を目指し,人的資本の重要性が高く,従業員の採用や定着が課題であると考えられるスタートアップ企業における特有の役割が明らかになった。すなわち,⑴IPO(新規株式公開)が近い企業ほどストックオプションを導入し,その発行比率も高まる。⑵ストックオプション発行比率は,IPOに際しての予定公募比率の大小によって大きな影響を受ける。⑶従業員を多く抱える企業ほど,従業員に対してストックオプションを付与している。⑷人材採用・人事制度構築が目下の経営課題のひとつである企業ほど,「ストックオプションの付与」を今後検討予定の施策として考えており,従業員定着仮説や従業員選別仮説の予想と整合的である,などの結果が得られた。