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第136号(2026年9月)

東京株式取引所短期清算取引における繰延料の決定要因
—東株代行の代行勘定データを用いた実証分析—

太田達也(当研究所研究員)

〔要 旨〕

 本稿は,戦前期東京株式取引所の短期清算取引において受渡数量の調節を担った東株代行に着目し,1927年7月から1937年3月に至る日次ベースの代行勘定データを用いて,繰延料の決定要因を実証的に検討する。分析の結果,第一に,繰延料は同一日内の銘柄間比較において代引尻の大きい銘柄ほど有意に高く設定されており,東株代行が代引尻に応じて繰延料を差別化していたことが確認された。ただしその反応は代引尻水準の低い領域に集中する凹型であり,繰延料には上限を意識した平準的な運用が行われていた。第二に,繰延料の市場共通成分と翌日物コール・レートの連動は時期依存的であり,1932年以降にはほぼ完全なパススルーが確認されるのに対し,金解禁や昭和恐慌のあった不況期には両者の連動は確認されなかった。第三に,逆日歩の発生と深度は発行済株式数の小ささ,すなわち市場全体の現物株式の希少性によって説明される。以上から,繰延料は,順日歩については東株代行の代引尻と市中金利を,逆日歩については市場全体の現物株式の希少性を映すコストであり,両者の間の徹底した非対称性こそが,短期清算市場の価格形成を貫く基本構造であったと結論づけられる。

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