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第72号(2010年12月) サブプライムショック後のヨーロッパ金融・資本市場

ギリシャの財政危機と欧州系銀行の国債保有

代田純(駒澤大学教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 本稿はギリシャの財政危機と欧州系銀行によるギリシャ国債の保有構造について検討する。まずユーロ圏を最適通貨圏として見ると不安定要因を抱えている。ついで,ギリシャの財政に注目し,ギリシャ国債の起債条件を見ると,発行価格の低下やクーポンの上昇から,すでに2007年から財政にとって負担が増加していた。2007年以降の金融危機によってギリシャ国債の利回りは上昇しており,2009年の政権交代と財政赤字上方修正が背景のすべてではない。
 ギリシャの財政構造において,歳入では直接税の比重が低く,歳出においては公務員給与,年金の比重が高い。また義務的経費としての国債利払い費増加が今後数年予測され,人件費や年金など裁量的経費の削減が財政再建計画の鍵となっている。
 ギリシャの国内銀行は,ストレステストで不合格行があったうえ,不良債権も増加している。このため独仏を中心とする海外銀行に資金面で依存し,国債保有でも海外銀行が中心となっている。独仏など海外銀行のギリシャ国債保有は,ほとんどが銀行勘定(満期保有)であり,ストレステストの対象外とされた。
 仮にギリシャ国債の価格低下,もしくは利払い遅延等が発生すると,独仏など海外銀行には深刻な損失が予測される。この最悪シナリオを回避するためには,IMFやEUの支援を前提としても,ギリシャの財政再建が計画どおり進展することが必要となる。

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