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第48号(2004年12月) 情報化時代への適応を模索する株式市場システム

“資金調達機能”なき株式市場の存在理由

広田真人(東京都立大学客員教授)

〔要 旨〕

 日本経済の再生のためには,我が国金融システムの『直接金融へのシフト』が必要不可欠であるという議論が少なくないが,こうした議論の多くが-あまりに基本的論点であるが-株式市場のプライマリー・マーケットとセカンダリー・マーケットとの役割の違いを充分意識しているとはとても思えない。
 何故なら,米・日といった成熟した資本制的商品経済社会にあっては「株式市場の資金調達機能」はペッキグオーダー理論としても知られるようにほとんど利用されていないという現実がある以上,セカンダリー・マーケットとしての株式流通市場に,仮に銀行預金を取り崩した個人金融資産が大量にシフトしてきたとしても,それは短期的に株価を上げることはあっても,その資金は一銭たりとも企業の手元に入るわけではないからである。
 こうした現実に即した上で,ギャンブルとは区別された株式市場の存在理由を主張しようとすれば,笑ってしまうほどノーマティブであっても,“資本コスト発見機能”を持ち出さないわけには行かないのではないか! 換言すれば,“資本コスト発見機能”とセットとなっていない資本市場活性化の議論は国民経済的にはほとんど意味が無いのである。

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