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第48号(2004年12月) 情報化時代への適応を模索する株式市場システム

チッカー制度とは何か

中村俊夫(元当研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 アメリカで,株式チッカーの実用化に成功したのは1876年である。しかし,それはただ実用化の成功なのであって,チッカー制度として確立するのは何年も後のことである。そして,このチッカー制度がアメリカ証券市場の根幹的制度の一つとして根付いてゆくことになる。1963年SEC特別調査報告書の記述によると,NYSEの考えるチッカー制度の目的は,当日に成立した取引の流れを即時かつ広範囲に伝達することに加え,顧客が会員業者に依頼した注文の執行状況に対する確認を容易にし,会員業者と顧客の信頼に資するものであるとしている。但し,速報性を重視しているため,適切に執行されたか否かの信頼すべき検証手段たりえないとする立場をとってもいる。なお,チッカーは,キャラハンが電信印刷機のアイデアを利用して1867年夏に完成させ,ゴールド・アンド・ストック電信会社を設立して商業化を図った後に急拡大し,いくつかの競争相手が出現した。一方,NYSEが立会場で成立した相場に対して商業的価値を確立し支配権を持つことに関心を抱き始めてもいる。なお,この動きはその情報を利用して,NYSEの価格発見機能を利用せずに取引を行おうとする業者に対する牽制の意味もあった。結局,NYSEは,チッカーを発信する電信会社を買収し,自ら事業に乗り出すことになる。また,1975年に全米市場システムの先頭を切って総合取引報告システムが稼働したことを受け,チッカーには,取引市場に関する情報が付加されるようになった。

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