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第48号(2004年12月) 情報化時代への適応を模索する株式市場システム

金融機関のIT投資効果の定量評価
─リアルオプションとバランススコアカードを活用したアプローチ─

青木克人(埼玉大学大学院博士課程後期課程)

〔要 旨〕

 金融機関(銀行,証券会社,損害保険会社)の情報システム化投資案件につき定量評価するモデルを構築した。情報システム化投資の定量評価を実現する課題を「効果の定量評価が困難であること」,「未来予測を含むこと」の2点とし,前者につきバランススコアカード(BSC)を活用,後者につき,リアルオプションを活用する。BSCにより,情報システム化投資と財務上の効果との関係を導出し,リアルオプションの手法を導入することより,財務上の効果の不確実性を織り込んだ上で,投資のリスクを縮小,投資の現在価値の向上を実現する。また,この過程で定量化,将来予測の根拠を明示することにより,投資の効果及びその予測につき,事後のモニタリングを実施することも可能となる。金融機関のモデル構築にあたっては,収益構造の異なる銀行,証券会社,損害保険会社を対象として,戦略的IT投資案件の投資効果の事前予測を仮定し,各々BSCを用いて定量効果を予測してNPVを算出後,投資のオプションを想定してリアルオプションアプローチを導入するという構成とした。

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