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第48号(2004年12月) 情報化時代への適応を模索する株式市場システム

市場間競争の論理と現実
―レギュレーションNMSによせて―

佐賀卓雄(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 アメリカの証券市場の統合の基本的なコンセプトは「市場間競争」であるが,気配,および取引情報のリアルタイムでの流布と,最良気配を示す市場への回送によって支えられている。しかし,1975年にこの構想が打ち出されてからも,各市場および市場関係者の間での利害対立から紆余曲折を経て,緩やかな形の統合のまま現在に至っている。この間,投資家の多様なニーズを背景に,様々な取引システムが登場し,ECNのように,その中の一部はナスダック市場の売買高の4割ものシェアを占めるまでに成長した。
 しかし,NMSの理念である「市場間競争」のコンセプトが緩やかなものであったために,こうした新しい取引システムの成長が「市場の分裂」を意味するのではないかということが問題になった。これを正面から取り上げたのが,1994年にSEC市場規制局がまとめた『マーケット2000』という報告書である。この報告書はNMSの基本的なスキームを踏襲した上で,より競争的で効率的な市場を構築するための改革措置を列挙した。以後,現在に至るまでの取引システムをめぐる改革は基本的にこれに沿ったものである。
 こうした経緯を経て,SECは2004年2月にレギュレーションNMSという包括的な規則変更案を提案した。この中でも,大きな影響を及ぼすと予想されているのが市場間アクセスについての規則とトレード・スルー規則であり,NYSE(ニューヨーク証券取引所)はそれに対抗して,「ハイブリッド市場」構想を打ち出した。現時点では,この結末は不明であるが,これまで根本的な変更が行われなかったNYSEの取引システムに変更が行われるかどうかが注目される。

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