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第42号(2003年6月) ユーロ誕生後のヨーロッパ証券業界再編

アメリカにおけるミューチュアル・ファンドの隆盛とキャピタル・ゲイン課税

野村容康(当研究所研究員)

〔要 旨〕

 本稿は,アメリカにおけるキャピタル・ゲイン課税の実態の一端を明らかにする目的から,1980年代以降におけるミューチュアル・ファンドの隆盛とそれともなうキャピタル・ゲイン分配金の増大が,キャピタル・ゲイン課税の対象となる実現ゲインに及ぼす影響について検討した。
 分析の結果,(1)ミューチュアル・ファンドから支払われるキャピタル・ゲイン分配金の大半は当年度の実現ゲインとして課税されないこと,また(2)最近の家計ポートフォリオに占めるミューチュアル・ファンドの重要性の高まりは,課税キャピタル・ゲイン分配金を含む実現ゲインをネットで増加させ,それにより実現ゲインの税率に対する弾力性を鈍化させている可能性が示された。特に後者の点は,ファンド・マネジャーの投資決定が,現在のファンド投資家が直面 するキャピタル・ゲイン税率に対して非感応的であるとする,ミクロデータを用いた既存の研究成果 とも整合的である。
 これらの結果は,近年キャピタル・ゲイン税率引き下げの税収に対する貢献度が少なからず減退している実態を表しており,この点で実現ゲイン(税収)の増大を理論的根拠とした伝統的なキャピタル・ゲイン課税政策(税率の引き下げ)の意義が後退している可能性を示唆している。

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