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第32号(2001年7月) 変革期の資産運用業

起債許可制度と財源統制
―財政の「健全化」に見るフィスカルポリシーの一側面―

井手英策(東北学院大学専任助手)

〔要 旨〕

 本稿では,高橋財政期における起債許可制度と補助金政策を媒介とした財源統制を分析する。
 当該期の財源統制に関しては,時局匡救事業(昭和7-9年度)の開始に伴う「起債+補助金」という現代的な財源統制方式の出現がこれまで指摘されてきた。こうした見解に対し,本稿は,現代における政府債務の累積過程を念頭に,「起債+補助金」という財源統制方式が大蔵省の「健全財政」主義のもといかなる政策的帰結をもたらしたのかを考察した。その具体的な結論は以下の通りである。

「暫行特例」措置により国庫補助事業に対する地方債許可制度が「緩和」されたが,量的な増大傾向は一時的なものに過ぎず,むしろ,その運用面において地方への「介入」が強化された。
軍事費の増大による中央財政の収支逼迫によって国庫補助金は削減され,それと連動して国庫補助事業に充当する起債は昭和8年以降急激に減少していく。この過程において,中央政府の「健全化」は,国庫補助の削減を軸に推進されたが,預金部普通資金を媒介として,地方は自らの負担に基づく公共事業の継続的実施を余儀なくされた。
中央政府の緊縮政策への転換とともに起債および償還の計画化が進行し,地方は継続費を利用しつつ中央の財政統制と連動した政策運営を要求されていった。
以上の結論を踏まえると,99年7月に成立した地方分権一括法に明記された起債許可制度の廃止を実行力あるものとするためにも,大蔵省統制における「健全化」の論理の再検討が不可欠である。

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