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第32号(2001年7月) 変革期の資産運用業

投資スタイルと運用機関構成

佐々木隆文(日興リサーチセンター年金研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 本稿は,偏った株式投資スタイルが年金資産運用に与える問題点について実証的に考察する。年金基金の運用利回り低迷はグロースに偏った株式運用に一因があったと思われ,偏ったスタイルにより,運用成績が乱高下するリスクは看過できないと思われるからである。
 グロース/バリューのリターン格差を対象とした回帰分析によると1998年までの動きはファンダメンタルズ要因である程度説明が可能だが,1999年のグロース株の急騰,2000年の急落はファンダメンタルズからは説明しにくいことが分かった。このようにスタイル別物色動向に不確実性が高まっている状況を踏まえると,年金基金はスタイルの偏りに対し,より慎重に対処すべきであろう。他方,バリュー株はグロース株よりもリスクが大きいという見方もあるが,最近の実証研究ではバリュー株から構築したポートフォリオがハイリスクだとの確証は得られておらず,こうした観点からもグロースに偏ったスタイルは肯定されない。
 株式アクティブ商品を対象にファンド間の相関係数を計算すると,市場型アクティブ商品は総じてグロース型商品との相関が高く,現在の年金資金のアクティブ運用では意図しないグロース型への偏りがあることが示唆される。他方,バリュー株ファンドは他の商品タイプとの相関が弱く,株式運用全体のリスク低下に寄与しうる。基金は自らの株式運用のスタイルを認識し,意図の有無にかかわらずスタイルの偏りというリスクに慎重に対処した上で株式の運用機関構成を検討すべきであろう。

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