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第120号(2022年12月)

わが国の自社株公開買付価格形成に関する理論的なフレームワークとその検証

松浦義昭(金沢大学国際基幹教育院講師)
米澤康博(早稲田大学名誉教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 わが国の自社株公開買付の特徴として公開買付価格が市場価格に比して低く設定されディスカウントにあること,そのほとんどが企業間相対取引であること,があげられる。
 本論文では相対でかつ低位買付価格で自社株売買が行われているこの取引が実は双方にとって合理性であることを理論的に明らかにした上で,この合理性を実証的に確認する。
 自社株買い企業においてはそれ自体の直接効果はマイナスであるがそのマイナスをディスカウント価格で買うことによって相殺し,収益ではプラスの効果があるように,売手企業においては安く売ることによるマイナス効果以上の直接プラス効果を得,収益ではプラスの効果があるように,すなわちwin-win効果があるように買付価格が形成されていることがわかった.しかしこの効果は短期的であることもわかった。

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