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第120号(2022年12月)

企業の社会的責任(CSR)活動と社債の負債コスト

向真央(久留米大学商学部専任講師)

〔要 旨〕

 本稿の目的は,企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility: CSR)活動が日本の社債市場でどのように評価されているのかを明らかにすることである。企業のCSR活動が株式市場においてどのように評価されているのかについては,海外のみならず日本でも先行研究によって調査されており,知見が蓄積されてきている。しかしながら,日本の社債市場を対象に分析を行っている研究は,筆者の知る限りまだ見当たらない。本稿では,日本の社債市場を対象に企業のCSR活動と利回りスプレッドの関連性を実証的に分析することで,CSR活動に関する情報が社債の負債コストの決定要因となっているのかどうかを検証した。実証分析の結果,CSR活動の評価と社債の利回りスプレッドとの間にはマイナスの関連性が観察された。このことはCSR活動に積極的(消極的)である企業ほど,社債の負債コストは減少(増大)する傾向にあることを意味する。企業のCSR活動に関する情報が社債の負債コストの決定要因となっていることが示唆された。

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