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第117号(2022年3月) 株式市場研究会特集号

SPAC(特別買収目的会社)とは何か

福本葵(帝塚山大学法学部教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 2021年のアメリカの新規上場会社数は,前年比の2倍の約1,000件となった。これは,SPAC(Special Purpose Acquisition Company,特別買収目的会社,以下,SPAC)を利用した上場の急増によるところが大きい。SPACは,それ自体は特定の事業を持たず,未公開会社等を買収することのみを目的として上場する会社である。SPACは,上場時にはどの会社を買収するかは不明なので白地手形を指す「ブランク・チェック・カンパニー(blank check company)」と呼ばれることがある
 SPACは上場後に適切な買収対象となる企業を見つけその企業と合併する。合併後は,事業を営む被買収企業が存続会社となり上場を継続する。SPACによる上場は被買収会社にとって上場準備期間が短縮化されるメリットがある。また,新型コロナ感染症に伴う量的緩和による資金が投資先を求めて,SPACに向かったものと考えられる。
 投資家は,SPACに投資する時点では,事業会社となる将来の被買収企業の業績を判断することができない。投資家はSPACのスポンサーと呼ばれる創業者の専門性や手腕を信頼することによって,投資することとなる。2021年3月までのSPAC件数の急拡大が4月になり急減したのは,SECが,SPACの個人投資家に対し,スポンサーが著名人であることを理由に投資することの危険性を警告し,SPACおよび被買収企業に対しては,規制強化を開始した影響が大きい。
 本稿では,SPACとは如何なるものであるか,SPACの歴史およびSPACの上場から合併に至る手続き,SECの規制について考察する。

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