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第117号(2022年3月)

株主優待が株式価格に及ぼす影響の考察

田代一聡(当研究所研究員)

〔要 旨〕

 我が国において,株主優待はその存在が投資家に広く認知されている制度である。しかし,株主優待に関する経済学の学術研究は非常に限られており,知る限り,数理モデルを用いた先行研究がない。
 本論文では,株主優待の導入が株価にどのような影響を及ぼすのかを理論的に検証するのを目的としている。本論において鍵となる考えは株主平等原則からの逸脱である。
 実証研究の結果と整合的な,株主優待の導入により株価を上昇させる可能性を理論モデルで示せた。この結果は株主優待が導入されることで,個人株主の需要が喚起されるという非常に直感的な力で起き,自明に感じるかもしれない。しかし,このような均衡の存在は自明ではない。何故なら,株主優待が配布されることで,限界的な資産保有から得られる利得が下がり,株主優待は株式価格を低下させる力が働くためである。
 また,情報の非対称性を考えたときに,個人投資家が株主優待を得ることを目的として,情報が異なっても一定の保有量を選択するために,均衡価格を通じた情報の伝達を阻害する可能性があることが分かった。

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