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第114号(2021年6月)

GFC以降のスウェーデン商業銀行等の経営動向

勝田佳裕(静岡英和学院大学人間社会学部准教授)

〔要 旨〕

 本稿では,リクスバンクによる非伝統的金融政策の枠組みを踏まえた上で,GFC以降のスウェーデンの商業銀行等の経営動向を検討した。
 世界的な金利低下局面においても,預貸金利差がある程度維持されているところに貸出が増加したことで資金利益の減少が限定的となり,加えて手数料等利益が増加傾向にあったことから,スウェーデンの商業銀行等の経営は概ね堅調であった。
 日本銀行やECBをはじめとする先進各国の中央銀行がマイナス金利政策の継続ないし深掘りを模索する中,リクスバンクが世界に先駆けてマイナス金利政策を解除することができた背景には,同政策の負の影響を受けにくい銀行システムおよび同政策の銀行経営に対する負の影響を最小限にするための制度設計があったのではないか。
 中央銀行と民間銀行が共存する現行の二層構造システムが維持されるという前提に立てば,新しい段階に入ったと思われる中央銀行の金融政策には民間銀行への影響に最大限配慮した制度設計が,民間銀行には様々なニューノーマルに合わせた収益・費用構造の転換が,それぞれ求められよう。
 スウェーデンの事例から,新段階における中央銀行と民間銀行の進むべき方向を探るヒントが得られるのではないか。

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