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第114号(2021年6月)

米国におけるESG情報の強制開示をめぐる議論の動向と分析

新井弘貴(大東文化大学法学部専任講師)

〔要 旨〕

 本稿では,米国におけるESG情報開示の在り方をめぐる議論(特に強制開示の枠組みでどのように規制するか)を題材として,ESG情報の一貫性・比較可能性・信頼性等を確保するためにどのような規制案の選択肢がありえ,各規制手法にどのような利点及び課題が存在するかという点について包括的な検討を加えた。規制案の候補としては主にSD&A方式,Comply or Explain方式,既存の開示基準等をSECが承認する方式等が検討されているが,何れの方法についても克服するべき課題が多数みられるところである。しかし,何れの規制案においても共通して①各企業や業界によって特定のESG情報の重要性が異なっている点,②ESG情報自体の重要性が時間の経過とともに変化を遂げる点,③開示を行う発行体企業にとって負担にならないようにするべき点について慎重な配慮がなされていた。こうした点に加えて,ESG情報の中でも分野によってその重要性に対するコンセンサスの有無は様々であることも踏まえると,まずは気候変動のように多くの企業にとってその重要性が比較的明白である分野から強制開示の枠組みを導入・強化していくことが望ましいといえる。そのような観点からは,近時のSECによる気候変動に重点を置いた意見募集やわが国のコーポレートガバナンス・コード改訂案におけるTCFD等に依拠した気候変動開示の要求は妥当なものである。

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