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第93号(2016年3月)

投資家に示す情報と投資選択:選択型実験法によるフレーミング効果の検証

北村智紀(ニッセイ基礎研究所金融研究部)
中嶋邦夫(ニッセイ基礎研究所保険研究部)

〔要 旨〕

 投資信託の購入者や確定拠出年金の加入者が投資意思決定を行う際に参考にする資料の中に示される情報のうち,どのような形式の図表情報がファンド選択に影響するのかを選択式実験法で検証した。検証した情報は,ファンドとベンチマークとのリターンやリスクを比較した表である「収益率表」,過去のファンドの基準価額とベンチマークの推移を比較したグラフである「チャート」,現在の資産配分を示した円グラフである「資産配分」,一定の前提に基づく10年後の基準価額の範囲を示した模式図である「将来分布」である。実験では,長期の資産形成をするという前提で上記の情報を含む資料を見て,株式投信かバランス型投信の何れかで運用するかを回答者に選択してもらった。その結果,投資家の意思決定は示される図表情報により異なり,フレーミング効果が確認された。またその効果は株式非保有者と保有者で異なった。株式非保有者では,ファンドの種類に関わらず,「チャート」を示すことがファンドの選択確率に大きなインパクトがあった。「資産配分」と「将来分布」も一定の影響があった。株式保有者では,ファンドの種類に関わらず,「将来分布」を示すことでファンド選択確率にインパクトがあった。さらに「チャート」を示すと株式投信の選択確率を有意に高めた。既存研究と同様に「チャート」は投資家の投資決定の大きな影響があった。投資家が誤った判断をしないように,運用成果を示す際にはどのような掲載方法が適切か検討する必要があろう。

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