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第77号(2012年3月) 株式市場を巡る諸問題

IR(投資家向け広報)の始まりと,その後の進展
─全米IR協会(NIRI)/国際IR連盟(IIRF)/グローバルIRネットワーク(GIRN)─

米山徹幸(埼玉学園大学大学院教授)

〔要 旨〕

 IR(Investor Relations,投資家向け広報)は,上場企業にとって不可欠な機能である。企業の株主・投資家がグローバルになるにつれ,いよいよ重要性を増している。本論は,1953年に米企業GEに始まるIR活動の広がりを,GEでIRが業務として認知される経緯,次いで全米IR協会(NIRI),国際IR連盟(IIRF),グローバルIRネットワーク(GIRN)の発足と展開から概括する。
 NPO(非営利団体)としてのNIRIは30を超す国内各地の地域支部はもちろん,こうした支部から物理的に離れた会員を対象とするバーチャル支部まで,企業のIR担当者やIRコンサルタント,またIR支援業者を取り込み,証券取引委員会や証券取引所,アナリスト協会などに企業のIR活動に責任をもつ立場から積極的に提言してきた。とりわけ2度にわたる「IRの定義」と「IR実務基準」の策定と改訂は,企業の情報発信に関係する人たちにとって大きな拠り所となった。
 1986年の英国ビッグバンによる株主・投資家のグローバル化で,欧州企業のIR活動は本格化し,これが1991年のIIRF(本部ロンドン)の設立に結実する。03年〜04年の株主トランスパランシー(透明化)のキャンペーンは各国で異なる株主・投資家を開示する規制実態の問題点を明らかにした。その後,IIRFは新興国のIR推進団体の増加もあり,運営をめぐる異論を発端に,2008年,解散。同年,ウェブサイト上の組織GIRNが発足した。
 他方,NIRIは米国株式を保有する外国機関投資家が増大していることもあり,2011年,その中期プラン「2012-2015ワンNIRI」でグローバルIRを取り上げた。米国を超えたIR行動や意義が改めて問われる時代になったのだ。GEに始まる米国発のIRは,ほぼ60年間で,ここまできたのである。

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