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第77号(2012年3月) 株式市場を巡る諸問題

証券市場の新しいテクノロジーと規制

清水葉子(福井県立大学准教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 証券取引の速度の増大,アルゴリズム取引や高頻度取引の拡大などのテクノロジーの変化によって,証券市場の取引のあり方や市場構造が大きく変化している。ここ数年のアメリカ証券市場では,①取引高の増大,②一件あたり取引の小口化,③執行速度の高速化,④売買スプレッドの縮小,⑤市場の厚みの増大,⑥気配更新の高速化,⑦キャンセルの増加といった顕著な変化が見られるようになった。同様の変化は,高速取引が可能になった日本でも一部に見られるようになっており,テクノロジーがもたらす市場の変化に備える必要がある。すでに高速取引が大きく拡大している欧米では,テクノロジーの変化が市場規制にどのような影響を与えるかについて議論が進められており,IOSCOが発表したテクノロジーに関するコンサルテーション・レポートと,それに対する市場参加者のコメントを紹介する。レポートでは,高頻度取引を中心に,ダーク・プール,ダイレクト・マーケット・アクセスに焦点が当てられ,規制方針が示されたほか,市場参加者からのコメントでは,大勢としてはここ数年の証券市場のテクノロジー進展に好意的な反応が見られる一方,テクノロジーに対して,市場のコントロールを強固にすべきこと,管理不十分なダイレクト・マーケット・アクセスの禁止,公平で透明な手数料のあり方,規制当局に対して市場の変化を理解すべきだとする要望などが出された。

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