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第41号(2003年3月) 公社債流通市場改革と国債管理政策

エンロン企業スキャンダルとアングロ・アメリカン型格付けの限界

三浦后美(文京学院大学大学院教授)

〔要 旨〕

 ここでの主張は,いまアメリカで起きている粉飾決算の発端となったエンロン企業スキャンダル問題を取り上げ,格付けの歴史的視点から,これらの企業スキャンダルが投げかけたアングロ・アメリカン型格付けの構造的な問題点を考察する。
 格付システムの発展は,アングロ・アメリカン・スタンダードのグローバリズムによって,本来持っている「アングロ・アメリカン型格付けの限界」,もしくは「アングロ・アメリカンのローカル・スタンダード性」をますます日米債券市場で顕在化しつつある段階といってよい。そのため,これまでのアングロ・アメリカン・スタンダードを乗り越えた,新たな格付システムの理論的な枠組みがいま求められている。すでに100年以上の歴史をもつアングロ・アメリカ型の格付制度が今回のエンロン企業スキャンダルの引き起こした事態にまったく機能しないという無機能化,空洞化現象がなぜ起きたのか,日米債券市場のクロスチェンジング化の観点からまず,現状分析を試みる。
 最後に,アングロ・アメリカ型格付けの効用と限界のなかから,新たな理論的な枠組みとしてのアングロ・アメリカン・モデルとジャパン・モデルを混合させた「ハイブリッド・レーティング・モデル・コンセプト」を提案したい。

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