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第26号(2000年7月) 市場間競争の諸側面

ベンチャー市場の価格形成と投資家行動

丸淳子(武蔵大学教授・当研究所主査研究員)

〔要 旨〕

 日本経済の立て直しの切り札として,IT革命が叫ばれ,インターネット株の公開により,にわかに,わが国のベンチャー株式市場が賑やかになってきた。将来を嘱望されながら起業化のチャンスを得ることができない会社の存在は日本経済にとっても大変もったいないことであったが,従来の金融システムではなかなか対応できなかった。従来からある店頭市場に加えて,東証マザーズ,ナスダックジャパンが創設されたことは前進である。しかし,情報が少ない企業を評価して公開させることは,会社,ベンチャーキャピタル,引き受け証券会社そして投資家がそれぞれの仕事をしっかりこなさなければならない。
 赤字企業でも公開可能であることは非常に素晴らしいことではあるが,その中から本物の企業がでてくることが重要であり,ムードだけが先走らないように注意しなければならない。中小企業にはしっかりした技術の裏打ちのあるものが沢山いるが,それらの企業が資金調達するためのよい市場となることもベンチャー市場としての役割であろう。

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