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第122号(2023年6月)

日本のDC年金(iDeCo)とNISAをどう設計するか
—アメリカとイギリスとの比較から考える

田近栄治(一橋大学名誉教授)
山田直夫(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 わが国では,高齢化の進展に伴い公的年金の給付額を維持することが難しい状況になっている。そのため老後の資産形成を支える制度として,私的年金の重要性が高まっている。それを税制面から支えているのが,DC年金(iDeCo)である。一方,わが国では少額投資非課税制度としてNISAもある。
 家計の資産形成を支援する制度として,アメリカでは公的年金,401(k)などの企業年金のほかに伝統的IRAやRoth IRAがある。また,イギリスでは公的年金,私的年金のほかに貯蓄支援制度でNISAのモデルとなったISAがある。
 本稿では,公的年金の給付額と再分配効果,私的年金とその他の資産形成支援制度の拠出限度額などに注目しながら,日本,アメリカ,イギリスの制度比較を行う。3つの国の比較により明らかになったわが国の特徴は以下のとおりである。①日本では公的年金は老後の生活の支えとされているが,給付額は低い。②公的年金の再分配効果も弱い。③資産形成支援制度の拠出限度額は,アメリカやイギリスと比べて低く,そのなかでもとくに私的年金の拠出限度額が低い。
 本稿ではこの結果を踏まえて,わが国において公的年金の役割や私的年金の拠出限度額について見直しが必要であることを指摘する。

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