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第115号(2021年9月) 設立60周年記念

中央銀行流動性スワップ網と「ドル不足」の再来
—コロナ・ショック下の非米国銀行資金調達構造と米連銀の政策対応—

入江恭平(中京大学名誉教授)

〔要 旨〕

 ほぼ2020年初めから勃発したコロナ・パンデミックは3月中旬,国際金融市場に「ドル不足」を再来させ,これに対して米連銀は中央銀行間ドル・スワップ網を再設定した。
 今回の「ドル不足」はパリバ・ショック(2007年8月)以降の世界金融危機時に発生したものの再来である。「ドル不足」とは端的にいえば,非米国銀行がドル資金調達において困難に陥った状態をさす。その背景因を探ると非米国銀行のドル建て金融市場における資金調達構造の特異性に行きあたる。非米国銀行は米国銀行とは異なり小売り(retail)ドル預金に依存することがほとんどできず,したがって各種のドル建て短期金融市場(money markets)での資金調達に依拠せざるえない。米国内ではCP・CD市場,間接的にはCP・CDを組み入れたMMFs市場,グローバルには各種の銀行間市場である。銀行間市場には無担保の銀行間預金(いわゆるユーロダラー市場)のほかに(担保付)ドル為替スワップ=二通貨間スワップ(cross-currency swap)市場がある。これらドル建て短期金融市場は何らかのショックによって,時に資金逼迫,流動性危機を引き起こす。今回はコロナ・パンデミックによって「rush to cash」という現象を呈した。
 世界金融危機以降の非米国銀行の負債構造の変化を国籍銀行別にみたのち,とくにそのドル資金需給が集約される為替スワップ市場の態様を検討する。最後に非米国銀行の「ドル不足」に対する中央銀行ドル・スワップ網形成による連銀の政策介入の有効性の実相をみる。

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