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第115号(2021年9月) 設立60周年記念

発行市場におけるセルサイド・アナリストの有用性
—本邦企業による公募増資を用いた実証分析—

加藤政仁(京都大学経営管理大学院講師・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 セルサイド・アナリストの情報生産機能については,流通市場を中心に,その有用性を示す研究の蓄積がこれまでに行われてきた。一方,発行市場に焦点を当てた学術研究は,世界的に見ても限定的であり,本邦企業を対象とした研究に至っては筆者が知る限り皆無である。本稿は,本邦の公募増資を対象として,発行市場におけるセルサイド・アナリストの有用性についての研究を行った。主な検証結果は以下のとおりである。①セルサイド・アナリストにカバーされる企業の公募増資は,そうでない企業と比べて,新発株式のアンダープライシングおよび引受手数料がともに低い。②アナリストによる増資コストの引き下げ効果は,企業に関する情報が相対的に浸透していないとき(小規模企業や非東証1部企業)ほど,より顕著である。③トップアナリストによるカバレッジは,増資コストをより一層引き下げる効果を有する。以上の結果は,セルサイド・アナリストの情報生産機能は発行市場にも及んでおり,企業を取り巻く情報環境の質の向上に寄与する重要な役割を果たしていることを示すものである。

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