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第82号(2013年6月) 金融危機後のヨーロッパにおける金融規制の新潮流

国際金融危機とドイツの銀行制度改革─金融危機再発防止の試み─

藤澤利治(法政大学経営学部教授)

〔要 旨〕

 アメリカから始まったサブプライム証券関連の金融危機は,2007年夏にヨーロッパにも波及した。翌08年9月にアメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻が引き起こした国際金融危機は,ヨーロッパ経済を激しい不況に陥らせた。この不況対策のために拡大したユーロ圏諸国の財政赤字は,今度は国家債務危機となってユーロ危機に跳ね返っていった。
 このように打ち続く金融危機への対策は,当初の事後処理的な施策から危機再発防止策へと重点を移さざるを得なかった。この再発防止対策の内容は,基本的にはこれまでの金融自由化を逆転させ,金融規制を強化している。EU 最大の経済大国ドイツでも,実体経済が好調であるが,しかし停滞するドイツ銀行業を強化し,また金融危機再発防止のために必要とされる制度改革が検討されている。
 そのうちでも注目できるのは,銀行破綻処理のスキーム創設で,経営破綻に陥った銀行の清算や再建を可能にする仕組みの制定である。
 また,制度改革の中軸として,ユニバーサルバンク制度の改革が論じられている。それは完全な分離銀行制度への転換ではなく,リスクの高い金融業務から預金業務の分離を進める方向である。この改革のための法案は,2013年5月半ばに連邦議会において審議可決され,2014年の施行を目指しており,今後の動向が注目される。

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