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第75号(2011年9月)

配当政策と経営者の財務会計行動
―石川博行教授の所説によせて―

来栖正利(流通科学大学准教授)

〔要 旨〕

 本稿の目的はコロボレーション効果を検討した石川[2010]を詳説し,私見を述べることである。ここで,利益情報の公表と配当政策の公表とが相互作用し,それが追加情報となって株価の反応を引き起こす場合,その事象にコロボレーション効果があると解釈する。ライフサイクル仮説よりもコロボレーション仮説に基づいた方が日本企業の配当政策と利益情報の公表という事象を適切に説明できるという石川[2010]の実証結果が十分説得力を持っていると思われる。
 その上で,次の三つの点を指摘し,当該研究テーマのさらなる発展を期待したい。(1)配当政策の(修正)を公表することが,支払配当金の源泉である当期純損益に対する現金の裏付けの程度に関する情報を適切に提供できない発生主義会計の限界を補っている。この主張の説得力をさらに強化できる余地がある。(2)配当政策の修正が経営者の信念の程度を示すシグナルであると考える場合,その信念が確信に変わるタイミングとその決定要因の抽出は経営者の行動規範を理解することに役立つ。そして,(3)当期業績の進捗度(達成度)と配当政策の修正との関連性を探究することは経営者の経営姿勢を説明することに貢献するだろう。

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