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第64号(2008年12月)

AIMの規制システム

河村賢治(関東学院大学准教授)

〔要 旨〕

 株式会社が公開市場を利用するための条件とは何か。本稿はこの問題を検討するための前作業として,ロンドン証券取引所のAIMの規制システムを私なりの視点で理解しようとするものである。
 第2章では,AIMの成り立ちやその投資家層を概観した上で,AIMは欧州指令上にいう規制市場ではなく,公式リストに掲載許可された上場証券が取引される市場でもないが,取引所による規制が重要な意味を持つ取引所規制市場であることを確認している。
 第3章では,AIMの規制システムにおける最大の特徴である指定アドバイザー(Nomad)について検討している。NomadにはAIM申請会社のAIM適格性を判定する責任とAIM会社に対して継続的に助言・指導を行う責任があることを踏まえた上で,Nomadの品質を確保するための規制や実際の制裁事例について検討している。
 第4章では,AIM会社に対する規制として,AIMにおける登録許可プロセス,適時開示,AIM証券の取引,AIM会社による資産取引,企業統治などに関する規制を検討している。とりわけ企業統治に関しては,民間団体によるAIM会社向けの企業統治ガイドラインが実務上一定の影響力を有していることを指摘している。
 最後に,AIM会社はNomadと一体となって初めて公開市場適格性を有することになることを確認した上で,Nomadがその役割を適切に果たすには,(1)権限・責任,(2)知識・経験,(3)独立性,(4)情報,(5)制裁・インセンティブなどの要素が重要になってくると考えられることを指摘している。また,AIM会社向けの規制も実はそれほど少ないわけではなく,さらに民間ガイドラインも存在すること,このことは逆にいえば,そうしたガイドラインの発展が望めない市場であれば,その分一歩踏み込んだ内容の規制を設ける必要が出てくる可能性があることを指摘している。

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