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第47号(2004年9月)

明治後期における株式市場の効率性の分析(上)

片岡豊(白鴎大学教授)
丸淳子(武蔵大学教授当所客員研究員)
寺西重郎(一橋大学経済研究所教授)

〔要 旨〕

 本稿の課題は明治30年代前半の時点における株式市場の情報効率性の程度を分析することである。なぜ,明治時代の株式市場の効率性をこの時期に分析するのか。理由は大きく2つある。大企業は株式市場からの資金調達が大きかったが,農村を中心とする在来産業は銀行借入に依存していた明治期における株式市場の配分機能や情報機能を分析してその現代的意義を探ることである。また,成長著しいアジアでは銀行借入中心の金融システムの中で,急速に拡大している株式市場の機能・効率性を問う時の手がかりをえることである。
 明治時代の株式市場の制度のもとで,実際の取引がどのように行われ,どのように価格が形成されていたかを整理する。差金決済取引が主であったことから現在以上に活発な売買があった。また,取引所と場外市場の効率的な棲み分けも行われていた。このような一見効率的にである株式市場について,価格形成から実証的に分析する。(ここまで本号)
 II章で展開されている明治時代の株式市場を情報の非対称性を軸に読み替えて,市場の情報に関する効率性を分析する。明治期の株式市場のマイクロ・ストラクチャーおよび株主構成の機能を再確認した上で,個別銘柄に関して,情報のウィーク型およびセミ・ストロング型検証を行った。ウィーク型では効率的であるが,セミ・ストロング型では効率的とはいえないという結果が得られた。(次号)

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