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第113号(2021年3月)

資金余剰下における国債市場の変貌

中島將隆(甲南大学名誉教授)

〔要 旨〕

 日本の国債市場は今日,大きな変貌をとげている。1998年以降,国債の無制限発行が継続しているにもかかわらず,国債市場が極めて安定しているからである。これまでの常識では,国債大量発行が継続すると必ず国債危機が発生していた。国債の市中消化が困難となり,国債金利が上昇し,その行き着く先はインフレであった。ところが現実の国債市場をみると,国債危機は全く生じていない。国債発行市場は安定し,国債の流動性は高く,国債金利は低下を続け,ついに国債金利はゼロ金利になった。インフレは回避されているだけでない。現実にはデフレから如何に脱出するか,2%という物価上昇を如何にして実現するか,これが目標となっている。今日の国債市場は,これまで経験したことのない変化,これまでの国債管理論では説明できない変化,こうした大変化が生じているのである。小論では,まず,国債市場の現状を分析し,次ぎに,こうした大きな変化がなぜ生じたのか,論点を整理しながら考えていく。論点の剔出と分析により,今日の国債市場の変化はデフレに起因すること,デフレによって資金不足から資金余剰に変化したこと,資金余剰によって国債の金利が低下し,国債発行の歯止め装置が利かなくなったこと,国債の無制限発行が現実的であっても理性的といえるか,こうした問題を検討していく。

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