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第87号(2014年9月)

東日本大震災における被災企業のバランスシート改善と
金融機関・ファンドの役割(下)—私的整理による事業再生を念頭に—

松尾順介(桃山学院大学教授・当研究所客員研究員)
田頭章一(上智大学法科大学院教授)
中野瑞彦(桃山学院大学教授)

〔要 旨〕

 本号では,以下の検討を行い,それぞれ下記の結論を示している。
 Ⅲでは,まず被災地域の経済状況等を検討し,被災地域は震災以前から経済状況が悪化していたことを明らかにしている。したがって,復興に向けては震災前の経済水準への回帰を目標とするのではなく,より高いレベルを目指す地域復興・活性化のグランド・デザイン策定が必要である。被災地の金融機関は個々に金融支援の貸出などを打ち出しておりその取り組みは高く評価できるが,グランド・デザイン実現のためには,これまで以上に連携して被災地域を次のステップに押し上げていくことが求められる。
 Ⅳでは,被災地企業復興における各種ファンドの取り組みについて検討を行っている。現在,震災復興に向けたファンドが官民連携あるいは民間主導によってかなり多数設立され,金融面からの支援体制の整備も進められているものの,その現状は必ずしもわかりやすいものではなく,その役割も判然としない。そこで,今後はより周知性を高める工夫や仕組みが必要であろう。そのためには,情報プラットフォームのような仕組みも考えられる。さらに,情報が共有されることで,複数の金融スキームを組み合わせるような金融支援が容易になる可能性もある。

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