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第74号(2011年6月)

証券化と格付機関のあり方

森谷智子(嘉悦大学専任講師)

〔要 旨〕

 2007年から2009年にかけての金融危機の原因究明が課題となっているが,その発端となったサブプライム住宅ローンの証券化商品についての格付けに関連して,格付けシステム全体のあり方が問題になっている。金融危機を招いた要因として,証券化という金融技術が一般的に批判されている一方,格付機関による格付けの甘さも取りあげられている。この格付けに対する問題を払拭するために,米国では,ドッド=フランク法のもとで,格付機関に対するさまざまな規制の見直しが行われている。特に,格付機関と発行体の間における利益相反という問題を解決するために,格付機関への格付手数料の支払いモデルが検討されている。
 度重なる金融危機,そしてエンロンなどの破綻によって,格付機関の格付けに対する信頼性が問われてきた。また,格付けだけでは,債券のリスクを正確に見積もることはできない,という批判もある。しかしながら,情報を十分に有していない投資家は,格付けを頼りに投資をしていた。このような機関投資家や投資家は,投資するうえで,今後も,格付機関に頼らざるを得ない状況が続くと考えられる。
 これまで証券化は,資産圧縮,有利子負債の返済など,多くの財務的意義を果たしてきた。しかしながら,昨今では,金融機関の利益獲得手段として変貌することになった。上記の意義を果たすような証券化商品市場を活性化させるためにも,格付機関と同様に証券化商品の本来の役割とは何であったのか,を見直す必要がある。

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