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第63号(2008年9月)

企業の社会的責任とコーポレート・ガバナンス(下)
―非財務情報開示とステークホルダー・コミュニケーション―

首藤惠(早稲田大学大学院教授・当研究所客員研究員)
竹原均(早稲田大学大学院教授)

〔要 旨〕

 CSR活動を促すには,多様なステークホルダーの利益相反を解消し付加価値最大化に向けて経営を方向付ける,コーポレート・ガバナンスの枠組みでとらえる実践的アプローチが有用である。この研究の目的は,CSRを「企業が社会の一員として持続可能な価値生産活動を行なう際の規律づけと動機付けのメカニズム」と狭く定義し,個別企業データを用いてCSRへの取り組みと企業パフォーマンスとの関係を実証分析することにある。(1)内部ガバナンス・メカニズム(組織内部の機関設計,自己規律),(2)外部ガバナンス・メカニズム(非財務情報開示,ステークホルダー・コミュニケーション),(3)社会貢献の効果,に分けて,経済的パフォーマンス(収益性,安定性,成長性,市場評価)との関係に注目する。
 本論の(上)では,CSRの総合評価とパフォーマンスとの関係について,(下)では上の3つのコーポレート・ガバナンス特性とパフォーマンスとの関係について検証している。主な実証結果は次のとおりである。第一に,総合的に見ればCSRに積極的に取り組んでいるのは大規模安定企業であるが,規模や産業特性をコントロールしてもなお,CSRに積極的な企業は成長性や市場評価の面で優良なパフォーマンスを示している。第二に,消費者や株主に対する積極的な情報収集・発信は市場評価と関連し,非財務情報開示とステークホルダー・エンゲージメントが経済的パフォーマンスと社会的評価を結ぶリンクであることが示唆される。

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