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第57号(2007年3月) 国債管理政策の新展開

米国債取引決済の改革

磯谷玲(宇都宮大学国際学部教授)

〔要 旨〕

 本稿では,「安全で,流動性が高く,効率的な市場」を支える市場機構のうち,決済システム,特に近年の改革論議に焦点を当てて考察する。
 まず決済システムの動向を,近年の改革論議の出発点となった「フェイル(Fail)」について,ついで2002年以降継続的に議論されてきた決済システムの整備・改革について概観する。
 FRB,SECは2002年に共同ホワイト・ペーパーを公表し,国債決済の脆弱性を指摘した。これをうけた形で民間市場参加者を中心とした対応策の検討が行われ,「新銀行(NewBank)」構想が固められた。さらにフェイルの慢性化という事態を受けて,あらたな提案が財務省から2006年に行われ,検討されている。
 こうした一連の作業は,国際通貨としてのドルの地位や,アメリカを軸とした国際的資金循環からみて重要な位置付けが与えられるものと思われる。

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