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第53号(2006年3月) 新しい時代の投資家行動

投資環境の変化と個人投資家

高橋元(作新学院大学大学院教授)

〔要 旨〕

 日本の個人投資家は,持株比率の面では未だ顕著な増加を示していないものの,株主数は増加傾向を維持しており,近年の流通市場においては特に新興市場での存在感を高めている。個人投資家が株式市場に積極的な姿勢を示しているのは,1980年代以降の制度改革に伴い,株式市場の多様化や新金融商品の出現などが大きく影響しているものと思われる。
 しかし,これらのうち,新金融商品の出現に代表される投資機会の拡大は,個人にとっては証券化商品のように仕組みが理解しにくかったり,IPO銘柄のように過度に投機マインドを刺激したり,必ずしも健全な姿で個人資金を吸引しているとは言えない面もある。
 一方,機関投資家の主導する株価形成にはさまざまな問題点が指摘され,個人投資家の株式市場への参入が予てより待望されていた。しかし,個人は機関投資家以上に相互作用の影響を受け易い面もあり,そうした投資主体の存在に過度な期待を持つことは,少なくとも現時点では疑問が残る。

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