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第45号(2004年3月)

資料:2003年における六大企業集団株式持ち合い

菊地浩之(日本総合研究所)

〔要 旨〕

 本稿の目的は,都銀再編後の六大企業集団の株式所有構造を明らかにすることである。企業集団には色々な要素があるが,株式持ち合い比率はその成熟度を推し量る指標の一つと考えられている。
 1999年から2000年にかけて起こった都銀再編は,六大企業集団に非常に大きなインパクトを与えた。都銀再編後,六大企業集団の存在は顧みられなくなり,実態調査が遅れている。そこで,本稿では六大企業集団が存続していると仮定してマトッリクス表を作表し,株式持ち合い比率を計算する。また,企業集団が,都銀再編に沿って4つに集約されたケースを想定し,その考察も行う。
 考察の結果,六大企業集団の株式持ち合い比率は1970年代を頂点として,それ以降は漸減し,2003年には大幅に数値を減らしている。株式持ち合い比率の数値だけを見るなら,三菱・住友グループ以外は企業集団の躰を成していない。個別企業レベルでも,社長会の他メンバーによる株式所有比率が20%以上を維持するメンバーが極端に少なくなっている。六大企業集団で,三菱グループ以外は理論的にも「社長会=大株主会」という構図があてはまらなくなってきている。
 社長会の存在は六大企業集団の重要な指標であり,企業集団研究者からは非常に重要視されているが,もはや社長会の有無だけで企業集団の存在を実証することは不可能である。換言するなら,都銀再編以前にすでに六大企業集団の中には,社長会が存在するだけで実態がなかった(=企業集団ではなかった)グループがあった可能性がある。
 また,株式所有の上では,六大企業集団が都銀再編に沿って4つに集約されたとは言い難い。都銀再編は特定業種に大きな影響を与えたが,企業集団の融合までには結実しなかった。現時点では,六大企業集団が存続しているか,六大企業集団が事実上解体しているかのいずれかであると考える。

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