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第20号(1999年7月)

中国のB株市場

王東明(大阪研究所研究員)

〔要 旨〕

 本稿の目的は,92年に創設された外国投資家向けB株市場の7年間の状況を紹介し,市場の創設の背景と問題点に焦点をあて,株式市場を通 した外資導入という新しい実験を考察することである。
 まず第Ⅰ節で計画経済から市場経済への移行期において,旧体制と新制度の間で様々な矛盾と生じた問題を取り上げ,B株市場がこのような経済改革と対外開放の状況の下で創設された理由と市場の特徴を考察する。
 第Ⅱ,Ⅲ節ではB株市場の上場基準,上場企業の変化および市場状況を紹介すると同時に,株式の発行・取引に関する幾つかの市場の問題点を分析し,なぜ近年の株価が低いのかを明らかにし,アジア金融危機以後の市場低迷の原因を探る。
 そして第Ⅳ節以下で創設段階から過渡的な性格を持っている市場の様々な制度的な問題も考察し,外国投資家の関心が高いA株とB株の重複上場による「一株二価」の問題,国内投資家の参入問題,内外の異なる会計基準による財務諸指標の差,およびディスクロージャーの問題などを取り上げて検討する。
 以上のように市場の問題点と制度的な問題を検討したうえで,現在「瀕死」状態に陥っている市場は一体どのように評価したらよいのかを考察する。ここで90年代以後,積極的に取り組んでいる国有企業の株式会社制度の導入という企業制度改革の実験に触れ,直接金融という資金調達方法の変化,外資導入の多様化,国内企業・国内市場と海外投資家・外国市場をつなぐ接点という観点からB株市場の評価を試みる。
 最後に,アジア金融危機の教訓,人民元の自由兌換およびA株(国内投資家向け株式)とB株の統合問題に触れ,「改革・開放」政策の長期性の観点からB株市場の今後を考える。

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