第134号(2026年3月)
価格モデルの精緻化はインデックス投資のリスク評価に影響するか?
―新NISAを想定した長期シミュレーションによる検証―
金谷太郎(滋賀大学経済学部准教授)
吉田陽一(滋賀大学大学院経済学研究科博士後期課程)
- 〔要 旨〕
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2024年から始まった新NISAにより,非課税投資枠が大幅に増額され,非課税期間は恒久化された。政府は家計に長期に渡って資産運用を行うインセンティブを与えており,証券業界・資産運用業界の低コスト化競争により,個人の投資環境整備は近年急速に進んでいる。その一環として,長期インデックス投資がリスクに見合うリターンが得られるか否かを可視化するシミュレーション結果を示すことは重要である。その際,頻繁に用いられるのは簡便な幾何ブラウン運動モデルである。本稿では現実データで観測されるものの幾何ブラウン運動モデルでは捉えられない極端な下落などの挙動をより正確に表現できるARMA-EGARCHskew-t モデルを採用して2つのモデル間で生じるシミュレーション結果の差に注目した。最も標準的な全世界株式指数,全米株式指数及びTOPIXに連動する投資信託で運用すると想定した場合,2つのモデル間には積立や取り崩しのリスク評価に明確な差が生じるものの,個人投資家の現実的な意思決定において影響を与える程ではないことを示す。