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第125号(2024年3月)

米国オプション市場におけるホールセラーの活動
—ゼロ・コミッションの進展とホールセラーの利益の源泉—

志馬祥紀(帝塚山大学経済経営学部教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 米国では過去数年にわたり株式オプション取引の規模が拡大している。その背景として,ミーム株人気や委託取引手数料の無料化,株式市場における活発な取引が指摘されている。
 そうした中,リテール・ブローカーが投資家の注文を執行するために,他のブローカー(ホールセラー等)に注文を回送する際に受け取るリベート(ペイメント・フォー・オーダー・フロー,PFOF)と呼ばれる取引慣行が注目されている。
 本稿では,株式オプション市場が拡大した要因として,リテール・ブローカーによる対顧客の委託取引手数料の無料化(ゼロ・コミッション化)に注目し,当該慣行が拡大した結果,投資家行動等の市場状況が変化した可能性を検討した。
 その上で,リテール・ブローカーから回送される顧客注文を受け取り,取引所市場に回送,マーケットメイクを行うことで受け取った注文を執行するホールセラーの活動,収益源について分析した。
 この結果,明らかになったのは,オプション市場でリテール・ブローカーから注文を受け取り,従来は取引所に注文を仲介する役割を中心的に注目されていたホールセラーが,実際の行動として,マーケットメイカーと融合する形で,リテール・ブローカーと複数ある取引所との間で,注文を仲介するのみならず,複雑なリベートや費用を管理,収入の拡大化を図っていることが確認された。

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