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第88号(2014年12月)

ヨーロッパ銀行同盟元年—現状と課題—

中川辰洋(青山学院大学教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 ECB(ヨーロッパ中央銀行)は2014年10月26日,翌月から稼働するSSM(単一銀行監督機構)の準備作業の最終としてユーロ圏18カ国130の金融機関を対象とする経営の健全性や資産の審査結果を発表した。それによると,25行が資本不足,うち10行余が資本の増強を要請されたほか,資産・負債評価に難ありと診断され改善をもとめられた銀行もあった。しかし,SSMの直接監督の対象となる大手銀行の経営は全体として改善のあとが見られるとして,予定どおり11月4日に監督業務を開始した。ヨーロッパ銀行同盟元年のゆえんである。銀行同盟は明けて2015年にはSRM(単一銀行破綻処理機構)の施策である銀行破綻処理や破綻処理基金の創設などが漸次実施の運びとなる。本稿ではSSM稼働に至るプロセスを,その背景にある諸事情とともに整理・分析し,今後の課題を展望する。

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