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第86号(2014年6月)

イタリアのACEについて—ベルギーのNIDとの比較—

山田直夫(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 企業行動に対して中立的な税制については,理論,実証,シミュレーションなどの面でこれまでもさかんに分析がなされてきたが,経済のグローバル化が進む中でその重要性は益々高まってきているといえる。企業行動に対して中立的な税制として,Institute for Fiscal Studies [1991]において提案されたみなし利息控除(ACE,Allowance for Corporate Equity)と,U.S. Department of the Treasury [1992]において提案された包括的事業所得税(CBIT,Comprehensive Business Income Tax)があるが,実際面での新しい動きとして,2011年にイタリア政府がみなし利息控除を再導入したことが挙げられる。
 そこで本稿では,2011年にイタリアで再導入されたみなし利息控除である,ACE(Aiuto alla Crescita Economica)に注目し,その特徴について考察した。より具体的には,制度の内容,導入の背景,経済への影響について,ベルギーで導入されているみなし利息控除である,NID(Notional Interest Deduction)との比較を行った。

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