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第37号(2002年5月)

投資ファンドによる企業再建型投資

松尾順介(阪南大学教授当所客員研究員)

〔要 旨〕

 近年,企業倒産が増加する中で,倒産企業をターゲットとし,相手先企業を再建することで利益を得ようとするタイプの投資(ディストレスト・インベストメント),すなわち企業再建型の投資が注目され,実際いくつかの投資ファンドが活動を始めている。このような投資は,証券市場にとっては投資家に収益機会を提供するものであり,代替投資のひとつといえるが,経済全体にとっても倒産企業の再建を促し,効率化を促進するものと考えられる。しかし,これらのファンドは,前述のように「ハゲタカ・ファンド」と呼ばれ,「乗っ取り屋」同様のおどろおどろしいイメージが定着した観がある。また,一部のマスコミも,このようなイメージを大いに吹聴したといえる。しかし,実際はきわめてソフィスティケートされた投資家であると同時に,このようなファンドの活動が企業再建に貢献するものと考えられる。
 本稿では,国内のエイ・ピー・エム社とソフトバンク・インベストメント社が運営する2ファンドの投資事例として,富士機工電子,川崎電気,サワコーの3例を紹介し,このような投資のもつ意味を検討する。

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