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第14号(1998年7月) シンガポールの証券市場

シンガポール金融先物取引所と今後の先物業界

米村浩(琉球大学講師)

〔要 旨〕

 シンガポール金融先物取引所(SIMEX)は,欧米や我が国の補完的先物市場として1984年の取引開始以来約10年間急成長を果 たしたが,ここ数年は取引が伸び悩んでいる。本稿では,SIMEXの発展の過程とその経営戦略をサーベイすることによって,最近のSIMEXの短期的な取引停滞が,上場商品の品揃えの一巡とボラデリティの沈静化現象に加え,ユーロドル先物取引の成熟化,日本株の株価低迷や変動性の低下による日経平均先物の取引減少,海外機関投資家の取引の手控え,などによるものであることを指摘した。さらに,戦略的電子取引システムGLOBEXの成長でSIMEXはその存立基盤に大きな不安材料を抱えておりそれが解決されていないことや,ベアリングズ事件で電子化の遅れやSIMEXの管理の甘さを世界に露呈したこと,など長期的にも解決し得なかった問題点も示した。また,これらに加えて,先物業界全体の観点からも,先物市場が成熟化したことの影響や,電子化・店頭化などの不透明要素のために,先物取引所の将来は決して楽観できないとの認識を示した。最後に,そのような厳しい環境の中,SIMEXが,補完市場としての不安を払拭しつつ地域センター取引所への脱皮を果 たし,日本版ビッグバンを収益機会と捉えて東京市場と共存していくことを当面 の目標として掲げるべきことを提言した。

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