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第133号(2026年2月)アジア資本市場研究会特集号

ASEANにおけるサステナブルファイナンスの潮流
-トランジション・ファイナンスの重要性の高まり-

北野陽平(野村資本市場研究所主任研究員)

〔要 旨〕

 世界各国は,気候変動問題に関する国際的な枠組みであるパリ協定に基づいて,温室効果ガス(GHG)削減に取り組んでいる。しかし,米国のパリ協定からの再離脱により,気候変動に対する国際協調が阻害される可能性が懸念されている。実際,脱炭素を目指す金融機関の国際的枠組み「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」が2025年10月に解散した。
 そうした中でも,世界第5位の経済圏であるASEANは,気候変動対策を強化している。ASEANが環境保全と経済成長を両立していくためには,化石燃料からの効率的・効果的なエネルギー転換や,環境改善に貢献する事業・資産への投資を加速することが求められている。そのための資金調達として,グリーン/サステナブルファイナンスが活発化しており,持続可能な開発目標(SDGs)に資するSDGs債の発行が拡大している。
 ASEANでは,GHG排出量実質ゼロ(ネットゼロ)にコミットする企業が増加しており,トランジション(移行)を進める企業の新たな資金調達手段としてトランジション・ファイナンスに目が向けられている。信頼できるトランジションの要素等を明確化したガイダンスが策定されるとともに,シンガポール主導で官民が連携するブレンデッド・ファイナンスが促進されている。ASEANがトランジション・ファイナンスを推進していく上で,日本が重要な役割を担い得る。

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