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第133号(2026年2月)アジア資本市場研究会特集号

構造変化下のアジア途上経済と日本
―技術トレンドとリスク―

澤田康幸(東京大学大学院経済学研究科教授)

〔要 旨〕

 本論文は,構造変化の進展下にあるアジア途上経済と日本を対象に,技術進歩と経済成長の長期的動向を整理するとともに,その持続性を脅かすリスク要因を議論する。過去数十年のアジア経済は,資本蓄積に加えて,技術導入・模倣を通じた生産性向上によって急速なキャッチアップを実現してきた。特に中国では,フロンティア技術の開発を急速にすすめており,米国・欧州・日本が主導してきた先端技術革新が,現在では米国と中国に二極化されつつある。しかしながら,そうした先端技術の利用強度における国内格差もあり,中国を含むアジア諸国では技術模倣から自律的な技術革新への円滑な移行が全体として進んでいない可能性が高い。本稿は,全要素生産性(TFP)の国際比較に基づき,近年のアジアにおけるTFPの伸び悩みの背景として,国内企業間・国際間の資源配分の非効率性(ミスアロケーション)の重要性を指摘する。さらに,米国発の政策ショック,中国経済の減速,地政学的緊張,気候変動といったグローバルリスクが,グローバル・バリューチェーンの分断や技術波及の制約を通じて,将来の生産性向上をさらに阻害し得る点を論じる。結論として,アジアと日本の持続的成長には,技術革新の促進と同時に,経済統合の深化,リスク管理,制度改革と国際協調を通じてTFPを高めるための包括的戦略が不可欠である。

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