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第132号(2025年12月)資本市場・企業統治研究会特集号

日本企業の公募増資と会計情報の質

山下知晃(福井県立大学経済学部准教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 本稿の目的は,日本の公募増資時の費用(ディスカウント率や引受手数料率)と会計情報の質(本稿では会計発生高の質)との関連性を分析することである。米国の先行研究では,会計情報の質が低くなるほど,公募増資時の費用が高くなることが示されている。しかし,日本においては,公募増資時の費用と会計情報の質の間にどのような関連があるかについてはほとんど分析されていない。そこで,本稿では,日本における公募増資時の費用と会計情報の質の関連性を修正版Dichow and Dichev(2002)モデルを用いて検証した。本稿の分析では,一部の結果についてのみ,会計情報の質が最も低い増資企業群では公募増資時の費用が高くなっている可能性が示唆されたものの,全体としては,米国とは異なり,会計情報の質が低くなるほど,公募増資時の費用が高くなることを強く支持する結果は観察されなかった。さらに,追加分析では,これも一部の結果ではあるものの,名声の高い証券会社が主幹事証券会社である場合に会計情報の質が低い増資企業群で公募増資時の費用が高くなる可能性が示唆された。ただし,この追加分析の結果の頑健性は高くないため,結果の解釈には注意が必要である。

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