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第132号(2025年12月)資本市場・企業統治研究会特集号

金融システムが経済成長に与える影響に関する実証分析

宮崎浩伸(南山大学経済学部教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 本稿では,金融システムの変化が産業の成長に与える影響について,分位点回帰を行うことで,企業規模間や産業間における違いを明らかにしている。主な分析結果は以下の通りである。
 第1に,大企業と中堅企業においては,経済成長とともに,概ね,金融機関借入金の影響が低下する一方で,資本金からの影響が増加していることが明らかになった。この結果から,企業規模が大きい企業では,銀行に依存することなく,自前で資金調達ができている可能性が示唆される。
 第2に,中小企業については,経済成長とともに,金融機関借入金からの影響が増加している一方で,資本金からの影響は減少していることが確認できた。この結果から,中小企業においては,依然として銀行からの影響が大きいことがわかった。また,中小企業にとって,例えば,資本金を充実させることは,利害関係者への対応といったエージェンシーコストや税負担,さらには配当金の支払い等のマイナスの影響が大きく,こうした対応が大きな負担になっている可能性も考えられる。
 第3に,金融機関借入金の影響や資本金からの影響について,個別産業ごとに分析した結果,製造業,非製造業を問わず,産業ごとに異なる傾向があることが明らかになった。
 以上から,本研究で得られた知見は企業の資金調達や証券市場の育成といった産業政策に資するといえる。

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