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第132号(2025年12月)資本市場・企業統治研究会特集号

欧米大手銀行における投資銀行部門の課題
―欧米間の業績格差と欧州大手銀行の展望―

新形敦(立命館大学経済学部教授)

〔要 旨〕

 世界金融危機以降の欧米大手銀行の動向を見ると,米国大手銀行は最高益を更新するなど業績が力強く回復している一方,欧州大手銀行の回復は緩やかにとどまるなど,欧米間で業績格差が生じている。欧州大手銀行では,とりわけ世界金融危機後も投資銀行部門を維持した銀行において業績が低迷している。背景には,欧州大手銀行における投資銀行部門の収益性が低く,銀行全体の業績回復の足かせとなっていることがある。
 それでも一部欧州大手銀行が投資銀行部門を維持するのは,純収入への貢献が依然として大きいことに加え,自国市場や既存業務の制約などから代替となる収益源を見い出せていないためである。
 ただし,世界金融危機以降,投資銀行部門の中心であるトレーディング業務を取り巻く環境は量的・質的に変化している。金融規制の強化,ノンバンクやトレーディング会社の台頭,プライベート・クレジット市場の急拡大により,トレーディング業務の収益プールは伸びにくい状況にある。さらに欧州大手銀行は,米国市場における外銀規制や業務基盤の弱さから,米国大手銀行と比較して競争上の不利を抱えている。
 欧州大手銀行が安定的な収益構造を確立するには,投資銀行部門の最適化が求められている。

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