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第132号(2025年12月)資本市場・企業統治研究会特集号

新規上場子会社と初期収益率:親会社の「保証効果」と「搾取効果」をめぐって

川本真哉(立教大学経済学部教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 本稿では,親会社が子会社に与える効果について,保証効果,搾取効果をめぐって,子会社IPOの初期収益率の観点から検証を行った。分析の結果,以下の点が示された。第1に,マザーズ上場の子会社で低い初期収益率が確認された。特に,信用力に欠ける新興子会社が上場する際,親会社の存在は保証となり,子会社に入ってくる資金量を高めた。
 第2に,親会社が新興企業でもIPOする子会社の初期収益率は低いという同様の効果が観察された。搾取の懸念が高い親会社・子会社の組み合わせで,特に保証効果が機能していることが判明した。
 第3に,上場子会社ほど優れた収益性を示しており,親会社による品質保証は,単なるマーケットからのイメージだけにとどまらず,収益性の高い「品質の優れた」子会社を上場させることで実現されている。
 第4に,グループ経営指針や東証再編期以降,明確なアンダープライシングの抑制効果は子会社IPOには観察されなくなった。これら改革を契機に,親会社による子会社の富の収奪の懸念がマーケットにおいて強くなった結果だと推察される。

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