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第132号(2025年12月)資本市場・企業統治研究会特集号

不良債権問題下のメイン寄せと非メインバンクの融資回収
―西日本銀行と福岡シティ銀行の事例―

掛下達郎(福岡大学商学部教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 1990~2000年代の全国的な不良債権問題で,不動産,建設,卸小売業の3業種が苦境にたった。この波は福岡にも及び,合併する西日本銀行と福岡シティ銀行も,この3業種で不良債権を積み上げた。不良債権問題の深化とともに,日本のメインバンク関係において「メイン寄せ」と非メインバンクの融資回収が主流となった。本稿では,両行と不良債権問題の3業種の1つ流通業界(卸小売業)のメインバンク関係についてケーススタディを行った。それによると①メイン寄せは西銀と壽屋,岩田屋のケースで行われた。メインバンク主導の救済機関化であり,ゾンビ企業問題を防ぎ,企業の情報を収集しやすくなった。逆に②公的資金を注入されると伝統的なメインバンク関係は部分的に存続した。2002年1月に公的資金を注入された福岡シティとニコニコ堂のケースである。公的資金注入により,債権放棄が難しくなり,メイン寄せもあまりできない。③非メインバンクが融資を回収したのは,壽屋,岩田屋と福岡シティのケースであった。非メインバンクによる融資回収は,伝統的なメインバンク関係では基本的には行われなかった。しかし,④回収できずに非効率な岩田屋と西銀のケースもある。大企業のメインバンクである大規模な都銀や地銀の報復を避け,非メインバンクである地銀は融資を回収できなかったのである。

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